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  • 【特集記事vol.11】医薬部外品とは…
医薬部外品とは…

世界的にも珍しい日本にだけ存在する、「医薬部外品(薬用化粧品)」という名の化粧品があります。

医薬品よりも効果が穏やかで副作用の少ないものであり、医薬品と同じように効果効能を謳うことができる、化粧品よりも効果が期待される化粧料です。

しかも普通の化粧品と違って、シミ、シワ、ニキビという美容疾患の名称や育毛という魅力的な言葉を普通より自由に使うことができ、また「医薬」という名称がつくだけで、化粧品よりもすごくいい印象に感じてしまうものです。なので、化粧品よりも医薬部外品は販売合戦に圧倒的優位に立つことができます。

では、「医薬部外品」と「化粧品」は、内容にどれほどの違いがあるのでしょうか?

女性イラスト化粧品から遅れること5年・・・
2006(平18)年4月1日から医薬部外品の全成分表示が実施されました。しかし、化粧品の表示制度と決定的な違いがあります。医薬部外品の全成分表示は役所が決めた基準ではなく、業界が決めた基準なので、法的な規制がないことです。

だから、表示に関するルールも化粧品と異なり、かなり甘いものになっています。

そのうちの一つに、化粧品と同じ成分なのに「表示名称」を複雑な化学名にしたり、別の名称を使ってもいいことになっています。

たとえば・・・
化粧品成分に「カチオン化デキストリン−2」という陽イオン界面活性剤があるのですが、医薬部外品はこの名称を使わずに、わざわざ複雑に「デキストラン塩化ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムエーテル」と表示します。

この成分を調べてみようと思っても、化粧品の場合は成分事典の「カ」のページを開いて調べますが、医薬部外品を買って成分を調べようとしても「カ」のページには出てきません。

これでは、化粧品であれ医薬部外品(薬用化粧品)であれ、消費者にとってますます成分がわかりにくくなってしまいます。

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なぜ 同じにしないのか?常識で考えたら、消費者にわかりやすいように化粧品と同じ成分名にすべきなのに・・・

それだけではありません。
化粧品では配合量の多い順に成分を表示するのに対し、医薬部外品(薬用化粧品)は、順不同で済むので消費者は自分が嫌う成分がどのくらい配合されているのか知ることができません。それどころか、メーカーは消費者が嫌う成分を隠したいと思ったときは自由に隠せるのです。

これでは意味がありません。
いったい、誰のための全成分表示なのでしょう・・・

化粧品の全成分表示ルール(要約)

  • 原則、配合されているすべての成分を表示する。
  • すべての成分を容器に表示する(外装箱や添付文書に代替可能)。
  • 配合量の多い順に記載する。
  • 1%未満の成分および着色剤は順不同でかまわない。
  • 原料がすでに混合成分になっているものについては、各構成成分を一つ一つ分けて表示する。
  • シリーズ製品の着色剤は、メイコンテイン表示(その成分がその色の製品に配合されている有無に関係なく、「+/−」を表示の後に、当該シリーズ製品に配合されているすべての着色剤を表示する方法)でもよい。
  • 日本化粧品工業連合会が命名した「成分表示名称」で記載する。

医薬部外品の全成分表示ルール(要約)

  • 原則、配合されているすべての成分を表示する。
  • すべての成分を容器に表示する(外装箱や添付文書に代替可能)。
  • 「有効成分」と「その他の成分」に区別して表示する。その際、2グループに分けて表示するか、成分名に※印などをつけて印の説明を別に表記する。
  • 「有効成分」は承認書の記載順、「その他の成分」の記載順は企業の判断とする。
  • 同一成分が「有効成分」「その他の成分」の両方に配合されている場合(配合目的が異なる)は、各々表示する。
  • 表示指定成分以外の成分で、pH調整剤・粘度調整剤として配合する場合は、成分名ではなく一括して「pH調整剤」「粘度調整剤」と表示してもよい。
  • 原料がすでに混合成分になっているものについては、各構成成分を一つ一つ分けて表示する。
  • シリーズ製品の着色剤は、メイコンテイン表示(その成分がその色の製品に配合されている有無に関係なく、「+/−」を表示の後に、当該シリーズ製品に配合されているすべての着色剤を表示する方法)でもよい。
  • 日本化粧品工業連合会が作成した「医薬部外品の成分表示名称リスト」に載っている成分であれば、「成分表示名称」以外に「別名」「簡略名」を表示することができる。

・・・医薬部外品の場合、上記ルールに従わなくても処罰されることはないそうです。

化粧品メーカーにすれば商品価値を高め、消費者の信頼を得る手段として、また、化粧品とは違って法的な規制はありません。医薬部外品は自主基準(自主規制)ですから、表示に関するルールも化粧品とはことなり、かなり甘いものだとわかっていただけたと思います。

各メーカーはお肌の若返りに効果がありそうな薬品を、細胞賦活剤あるいは代謝促進剤として配合した美容液や薬用クリームなどを、さまざまな効果のありそうな言葉をつかって宣伝しています。

結果的に、これらの薬用化粧品はすべて皮膚のバリアを壊さなければ役立たないもの。ようするに、お肌の健康を犠牲にして成り立つものです。
なぜならば、薬効があるということは成分がお肌のバリアゾーンを通過するということだからです。

女性イラストちなみに、薬事法において「化粧品」は次のように定義されています。

「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他、これらに類似する方法で使用されることが目的とされる物で、人体に対する作用が緩和なものをいう」

つまり、人体に対する作用が緩慢で、毒性が弱いものなのです。
基礎化粧品は、皮膚よい環境づくりをし、メイク用品は装飾するために使う。本来はそういうものなのです。

化粧料は、簡単に外界のものを浸透させるのではなく、肌本来がもっている機能を守ることが大切だと、考えます。