美白化粧品の矛盾
そもそも「化粧品」とは・・・
体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で、皮膚等に塗布等するもので、作用の緩和なものをいう。つまり薬事法上、化粧品には効果があってはいけないのです。が・・・。
美白化粧品はどうでしょう?
界面活性剤を用いて皮膚のバリアを壊して還元(漂白、脱色)剤を皮膚の細胞内に浸透させる行為です。
美白化粧品には、大きく3つのタイプに分けられる
1.メラニンを漂白するタイプ
2.メラニンの合成を抑えるタイプ
3.メラニンをつくるメラノサイトを壊すタイプ
1の漂白タイプは、還元(漂白、脱色)剤で表皮に分布しているメラニンを脱色する方法。
2はビタミンC誘導体などをメラノサイトそのものに浸透させ、メラニンをつくりにくくさせる方法。
3の方法は、効果の高い美白成分を使ってメラノサイトそのものを破壊してしまうというもの。
以上の3タイプには共通して浸透剤(=界面活性剤)が使われています。
美白化粧品と界面活性剤
皮膚には外部からの物質を浸透させないバリア機能があります。
だから、美白成分を皮内に浸透させるには界面活性剤を用いてバリアを壊さなければならないのです。
こういう目的で使われるとき、界面活性剤は浸透剤と呼ばれます。
アンチエイジング化粧品や美白化粧品を用いて短時間でシワとり、美白を行うには界面活性剤を多く用いて浸透力を上げるということ。効果があればあるほど界面活性剤が多いことが考えられるのです。新世代コスメの怖さは浸透にあるのです。

美白化粧品が細胞膜を壊す!
メラニンは皮膚の細胞の中にあります。
美白成分を皮膚に浸透させても、皮膚の細胞には細胞膜があって美白成分は簡単に細胞に入れません。では、どうしているのか。
細胞の内部にあるメラニンを漂白するには美白成分を細胞の内部に浸透させなければならないのです。つまり細胞の生理活動を維持している細胞膜を壊さなければならないのです。
化粧品中の異物も細胞内に
細胞膜のおかげで生理活動を行っている細胞に異物が混入せず、安全に維持されている。しかし、細胞膜が壊れたら、体液中の老廃物だけではなく、化粧品中の防腐剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤などは一層危険なものとなります。
都合よく美白成分だけが細胞に入るわけではないのです。
メラニンは安全な紫外線吸収剤
メラニンは「紫外線」を吸収し、紫外線という化学光線が皮膚の中で毒物をつくらないよう防ぐ働きをしてくれています。
実はこのメラニンというのは、無毒で安全しかも非常に効率のいい天然の紫外線吸収剤なのです。
お肌が小麦色になるのは・・・
このメラニンの暗幕で、これが「シミ」や「シワ」の原因となる紫外線を吸収し防いでくれているのです。日焼けは紫外線による皮膚細胞のダメージではなく、紫外線によるダメージを受けないよう、皮膚細胞がメラニン色素を増やしている防御反応なのです。
ただ、男女とも歳を重ねると嫌でも皮膚が弱くなっていきます・・・
その表皮の弱くなった部分に紫外線が当ると、「シミ」をつくる原因となってしまいますので、やはり浴びすぎないようにしなければいけません。
でも、紫外線を浴びすぎていちばん怖いことは皮膚がんです。
そうならないためにも、メラニンを分布して紫外線を吸収してしまう働きがこのメラニンの大きな役割のです。
だから、メラニンのできにくい白人は、紫外線に対する抵抗力が弱く、浴びすぎると、ひどいシミや皮膚がんになる確率が高いのです。
でも、私たち日本人は天然の紫外線吸収剤(メラニン)をつくることができるので、そこまではひどくなりません。
正しい美白ケアは、ターンオーバーの働きです
皮膚は表面から大きくわけると、「表皮」「真皮」「皮下組織」にわけられます。


皮膚のいちばん外側が表皮です。この表皮は、実は4つの層によって作られています。
表面から順に、角質層、顆粒層、有棘層、基底層と呼ばれ、これらは常にターンオーバーをくり返しています。
ターンオーバーというのはひとつのサイクル運動のようなもので、基底層は、新しく生まれてくる細胞に押し上げられると、表面へと移動しながら分裂を繰り返し、やがて有棘層→顆粒層→角質層の段階を経て、最後に垢となって皮膚から自然に剥がれ落ちていくというプロセスをたどります。


私たちの表皮というのは、常にこうしたサイクル運動をしながら生まれ変わっているわけです。
このサイクル運動が正常に働くようにすることが正しい美白ケアなのです。
たとえ、メラニンを壊して「美白」を手に入れたとしても、美白化粧品の使用は健康な皮膚の寿命を縮めていることなので、ターンオーバーは弱って正常に働かなくなります。結果、シミや肌の透明感がなくなる原因にもなってしまうのです。
皮膚バリアを壊してメラニンを漂白するような行為は、皮膚の健康上非常に危険です。
簡単に外界のものを浸透させるのではなく、肌本来がもっている機能を守ることが大切なのです。